
結論:LTVは、一人のお客様との取引から得られる価値を長期で見る考え方です。購入回数を増やすことだけを目的にせず、初回体験、継続しやすさ、相談しやすさを見直します。
LTVという言葉は少し難しく見えます。けれど、小さな事業で考えたいのは、一度買ってもらった後も、必要な時に安心して相談してもらえるかということです。
新しいお客様を増やすことは大切です。ただ、初回の購入後に困りごとが残っていたり、次に何を頼めるか分からなかったりすると、せっかくの関係がそこで終わります。反対に、無理な追客を続けると、相手の負担になります。
この記事では、LTVを売上の計算だけで終わらせず、長く気持ちよく利用してもらうための実務として考えます。
LTVは売り込む回数ではなく、また頼みたくなる理由の積み重ねです。
LTVは、購入回数だけを見る数字ではない
LTVは、一般に顧客生涯価値と訳されます。一人のお客様との取引から、一定期間にどのくらいの価値が生まれるかを見る考え方です。売上だけでなく、継続期間、購入頻度、利益、サポートに必要な負担なども関係します。
購入回数を増やせばよい、と単純に考えないことが大切です。不要な商品を何度も勧めれば、信頼を失います。お客様にとって必要な時に、分かりやすい選択肢を用意する。その結果として、関係が続く状態を目指します。
まず、初回利用後の体験を確認する
継続を考える前に、最初の利用で困っていないかを見ます。商品なら使い方が分かるか、サービスなら納品後に迷う点がないか、店舗なら次回予約の方法が分かるか。小さな不明点が、そのまま離脱の理由になることがあります。
初回利用から数日後に、短い案内を送る方法もあります。「お困りの点はありませんか」「次回はこの方法で予約できます」と伝えます。売り込みではなく、使い始める人を支える連絡にします。
再購入の理由を、商品側から考える
また利用してもらいたい時は、連絡の回数を増やす前に、再購入する理由があるかを考えます。消耗品なら交換の時期、店舗なら来店の目安、事業支援なら次に見直すタイミングがあります。
たとえば、ウェブサイトを納品した後に、三か月後の更新確認を提案する。美容サービスなら、状態に合わせて次回来店の目安を伝える。必要な時期と理由が分かる案内は、お客様にとっても判断材料になります。
続けやすさを妨げる、小さな面倒を見る
商品やサービスに満足していても、予約が分かりにくい、問い合わせ先が見つからない、毎回同じ情報を入力する、といった面倒があると利用しにくくなります。
お客様がどこで迷っているかを見ます。よくある質問を追加する、予約導線を分かりやすくする、必要な案内を一通にまとめる。大きな施策の前に、小さな負担を減らします。
連絡しすぎないことも、関係を守る
再購入を促したいからといって、頻繁に連絡すればよいわけではありません。必要のない案内が続くと、本当に大切な連絡まで読まれにくくなります。
誰に、何を、どのくらいの頻度で送るかを考えます。全員へ同じ案内を送らず、利用した商品や時期に合わせて分ける方法もあります。配信を停止しやすくすることも大切です。
離れた理由を、責めずに考える
しばらく利用がないお客様を見て、すぐ追いかける必要はありません。必要がなくなった、予算が変わった、他の選択肢が合っていたなど、さまざまな事情があります。
一方で、同じ場所で離脱が続くなら改善の余地があります。初回後の説明が足りないのか、予約が難しいのか、期待とのずれがあったのか。お客様を責めず、体験の流れを見直します。
最初は、簡単な計算で十分
LTVにはいくつかの計算方法があります。小さな事業で最初に見るなら、一人のお客様が一回に使う金額、一定期間の利用回数、利用が続く期間を掛け合わせる考え方でも十分です。
たとえば、一回5,000円のサービスを年に四回、二年間利用してもらう場合、売上ベースでは4万円です。実際には原価や対応時間もあるため、利益まで見る時は必要な費用を考えます。まずは大まかに把握し、改善する場所を見つけます。
売上だけでなく、対応の負担も見る
継続売上が増えても、毎回の対応に時間がかかりすぎると、事業は苦しくなります。問い合わせへの返信、予約変更、個別対応、発送など、どこに負担があるかを見ます。
案内を分かりやすくする、よくある質問をまとめる、予約の変更方法を見つけやすくする。お客様が自分で判断しやすくなると、運営側の負担も減らせます。便利さと丁寧さの両方を考えます。
定期契約は、必要性がある時だけ提案する
継続を増やす方法として、定期契約や継続プランを考える場合もあります。ただ、単発で十分な相手へ無理に勧めると、かえって信頼を失います。
定期的に確認する価値があるか、毎回申し込む手間を減らせるか、途中で見直しや解約がしやすいかを考えます。事業側の都合だけでなく、お客様にとって続ける理由がある時に提案します。
小さな事業で見たい、五つの数字
- 初回利用から、二回目の利用へ進んだ割合
- 再購入や再来店までにかかった期間
- 継続しているお客様が、よく利用する商品やサービス
- 問い合わせや予約で、よく迷われる場所
- 継続対応に必要な時間や費用
最初から複雑な分析は必要ありません。分かる範囲で一つ記録し、変化を見ます。売上だけでなく、お客様の負担と、自分たちの対応負担も一緒に確認します。
今日から始めるなら、三つだけ確認する
1. 初回利用後のフォローメールを作る
2. 再提案できるサービスを一つ整理する
3. 既存顧客の声を事例化する
LTVを高めることは、お客様を囲い込むことではありません。必要な時に、また相談したいと思ってもらえる体験を作ることです。そのためには、初回利用後の不安を減らし、続けやすさを妨げる小さな面倒を見直します。
まずは、最近初めて利用してくれたお客様が、その後どこで迷いそうかを考えます。案内を一通加える、予約方法を分かりやすくする、次に相談できる内容を伝える。小さな改善から始めると、無理のない継続につながります。
参考リソース
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